賢くキャッシングするためのセラピー③

「時間不整合性」という人間の性向を「人間ってだらしないよね」の一言で済ませず、経済学ではそこに一種の「理由付け」や「法則性」を見出そうとします。

例えば、今すぐに手に入る10万円と1年後に絶対確実に手に入る15万円のどちらか一方だけの選択を迫られた場合、あなたは1年後の金額に「あなた固有の」割引率を掛けて、現在の価値に直して比較すれば良いのです。

あなたの割引率が0.8なら、15万円×0.8=12万円が1年後の15万円のあなたにとっての「現在の価値」だから、あなたは1年待つことを選ぶことになります。(ちなみに、預金利子率の存在は無視しています)

大事なのは、このような割引の仕方は、「時間整合性」を備えている、という点です。

例えば、今年の10万円と1年後の15万円を現在の価値に直して比較して後者のほうが好ましいなら、5年後の10万円と6年後の15万円を現在において比較しても同じです。

なぜなら、前者には割引率を5回掛け、後者には6回掛けて比較するわけだから、掛け算の回数の違いは1回分だけで、どちらが大きいかは現在と1年後の比較結果に帰着されるからです。

つまり、あなたがこのような比較を心の中で採用しているなら、5年後と6年後についての判断は、時間が経過した末に「今年と来年の比較」と変わっても、なんら変更がなされることはないのでする。

このような計算は「指数割引」と呼ばれ、「時間整合性」を持っている選好なのです。